鮨 梢

初めて梢さんの鮨を食べたのは今から2年前のちょうど同じ時期だった。当時梢さんは鮨なんばで修業をしていて、難波大将が若手育成のために設けていたランチの二番手コースで鮨を握っていた。お客さんを前に緊張しながらもしっかりと難波大将の鮨を充実に再現していて、すごく丁寧な仕事が印象的だった。その後、梢さんが独立して自分のお店を出す話は結構前から聞いていたが、コロナ渦のせいなのかなかなか新店の話は聞こえてこなかった。

やっと先月辺りからあちこちから梢さんの新しいお店の噂が聞こえてきて、いよいよ2021年10月13日高輪台に「鮨 梢」をオープンするとニュースが届いた。また友人がオープン直後に「鮨 梢」での貸切会に招待してくれたので喜んで参加してきた。

梢さん、いや、梢大将は見ない間かなりの貫禄を身に纏うようになって鮨なんばさんでの修業時代とはその雰囲気が全く変わっていた。多分オープンまでの間にたくさんの苦労とともに成長されただろうと勝手に解釈してしまう。

つまりから握りへとオーソドックスな構成でありながらも自分のオリジナリティーを出すための工夫をいろんな所から見受けられる。まだ難波さんの影響は濃く残っているものの自分のクリエイティビティで変化を試している姿が印象的だった。まだ弟子はいなくて一人で仕入れから仕込み、調理を全て行いながらも一切妥協しない、そのストイックな姿勢からは修道僧のような雰囲気まで滲み出している。

料理は最高クラスのものだったが、それだけではなく梢大将が得意としているワインのライナップもすごかった。特にシャンパーニュと白ワインを中心にしたリストは普通の鮨屋ではなかなか会えないものばかり。

ついついと頼みすぎちゃったが、料理とお酒の最高のバランス、幸せな夜だった。

2021北海道ツーリング

今回は今までと違って具体的な計画なしでの北海道旅だったが、それがこの旅に豊かさをもたらしてくれたと思う。事前にしっかり計画を立てていく旅も計画なしの旅もそれぞれのよさがある。

9月16日

川崎市、高坂SA、新潟中央卸売市場中央食堂、新潟港フェリーターミナル

9月17日

小樽港、オトンルイ風力発電所、北緯45度のモニュメント、ノシャップ岬、樺太食堂、稚内港北防波堤ドーム、白い道、宗谷岬、山一旅館

9月18日

稚内港、香深港、江戸屋山道、スコトン岬、海鮮処 かふか、沓形港、ミルピス商店、沓形岬公園キャンプ場

9月19日

鴛泊港フェリーターミナル、白い道、宗谷岬、エサヌカ線、クッチャロ湖畔キャンプ場

9月20日

セイコーマート枝幸店、濤沸湖、天に続く道、ウトロ漁協婦人部食堂、知床峠、セイコーマート 富士見店、知床第一ホテル

9月21日

知床食堂、野付半島先端、摩周湖第一展望台、摩周湖第三展望、和琴半島湖畔キャンプ場

9月22日

道の駅 あしょろ銀河ホール21、ナイタイ高原牧場、十勝牧場、豚丼のぶたはげ 本店、WINE SHOP INOUE、HOTEL MUNIN FURANO

9月23日

マイルドセブンの丘、札幌2りんかん、キッチンファームヤード、幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば、レイクサイドヴィラ翠明閣

9月24日

ポロピナイ、soup curry mog mog、ニセコパノラマライン、神仙沼レストハウス、神威岬、アンワインドホテル&バー小樽

9月25日

毛無峠、望羊の丘、三角市場、北一ホール、小樽港、新潟港

2021北海道ツーリング9日目:羊蹄山

いよいよこの度の最終日。今日北海道を離れると思うと朝から変な気分だ。最後の最後までしっかり楽しまないとね。

まずは朝ごはんから。

夜の「アンワインドホテル&バー小樽」のレストランも素敵だったが、朝は大きい窓からの優しい光が気持ちよくて落ち着く。高い天井と太い柱、アーチ型のステンドグラス窓は1920年代のアール・デコの影響かな?素敵で気持ちいい空間。

朝ごはんは洋食でアフタヌーンティーの形でおかわりも自由だったが、写真があまりうまく撮れてないのでコーヒーの写真に差し替える。この空間によく合う朝食だった。

本当に素敵なホテルでまた泊まって次こそバーでウィスキーやワインを飲んでみたい。

チェックアウトを済ませて、まず毛無峠へ向かった。

毛無峠は小樽市内から目と鼻の先で峠まで連続してるヘアピンを走っていると地元のライダーに愛されているスポットなのがよく分かる。ここからの夜景も綺麗らしい。

毛無から増毛を望む。薄毛の方にはすごく縁起がいいとか。実は、毛無はアイヌ語の「ケナシ(山林)」から増毛は「マシュケ(かもめの多い所)」から由来してるらしい。今日は晴天で増毛を綺麗に望めたのでいい薄毛対策になったかもしれない。

ケツが決まっているのであまり遠出はできない。小樽から羊蹄山を綺麗に眺められる「望羊の丘」が距離的にちょうど良さそうだったのでとりあえず望羊の丘へ向かったが、この国道393号が衝撃的にいい道だった。ツーリングが楽しい道、北海道ベスト3内に入るくらい(自分調べ)。直線、ヘアピン、ワインディング、高速ワインディングを美しい自然の中で楽しめる!

こんな素敵な道にすぐアクセスできる小樽のライダーたちが羨ましい。

望羊の丘までは1時間ちょっとで、国道276号から約4kmくらい農道を走るが、道幅は狭くてもちゃんと舗装されているのでゆっくり走れば問題ない。ただ、一部ナビが間違ったルートを案内する場合があるので事前にちゃんと確認しておいたほうがいい。ちなみにグーグル先生は正しいルートを教えてくれた。

望羊の丘からの羊蹄山は絶景でまたススキが秋の色を演出してくれた。

実は京極町にはたくさんの羊蹄山のビューポイントがあってその中でこのひまわり畑からの眺めが一番気に入った。地図には何の表記もないところだが、普通にこういう絶景が広がっているのも北海道の魅力の一つ。

ひまわり畑のすぐ隣にあるペーペナイ川からの眺めも素敵で右側の民家だけなかったら原始時代の火山のような雰囲気がある。ギャートルズにでも出て来そう。

羊蹄山を思う存分満喫した後は来た道をそのまま戻って小樽へ。やっぱりこの国道393号は楽しい。ちなみに国道393号は別名「メープル街道393」と呼ばれていて10月には道沿いに並んでいるたくさんの楓が黄金色に染まるらしい。

お昼は小樽駅の隣にある三角市場で食べることにした。小樽駅前に無料でバイクを停められる駐車場があったのでそこにバイクを停めて三角市場へ。

市場は北海道の海鮮物を中心に扱ってるお店がずらりと並んでいてたくさんの人で賑わっていた。ちょっと歩きづらいくらい。でも久しぶりに活気着いている風景を見るとなんだか嬉しい。あ、早くお店に入らないと並びそう!

ギリギリ並ばずに入れた。カウンターに一席だけ残っていたのでもし二人だったら並んだかもしれない。北海道での最後の食事はやっぱりウニ・イクラ丼!美味しいのは美味しかったが、稚内や礼文島、知床で食べたウニ・イクラに比べると味が落ちる。観光地なので仕方ない。

ご飯の後はティータイムを持ちたくて調べてみたら、「北一ホール」というお店が素敵で良さそう。

早速行ってみると北一硝子の三号館という位置づけだった。お店に入る通路が石造りの空間を石油ランプが照らしていてまるで大正時代にタイムスリップでもしたかのよう。

昔の倉庫を改造した天井が高くて167個の石油ランプが優しく照らしてるその空間は幻想的で独特な雰囲気がある。またこの空間に似合うクラシック音楽が落ち着きを齎してくれる。14時からグランドピアノの生演奏も楽しめるらしいが、行った時間が早かったので聞くことはできなかった。残念。

ソフトクリームとロイヤルミルクティーをいただく。この中では時間が優雅に流れる。

少し早かったが、あまりやることもなかったのでとりあえずフェリーターミナルへ。14時くらいだったのにもう結構待っている人が多かった。みんな充実した表情をしている。たぶん自分のそのように映っていると思う。

14時半くらいになると車とバイクの乗船のアナウンスが流れたのでバイクに戻るとワイルドに仕上がっているスラクストンがあった。素敵すぎてまた惚れ直す。もはやカフェレーサーよりはアドベンチャー・ツアラーのような風貌。

トラックの後にすぐ乗船ができたのですぐ風呂に入ってからデッキで小樽港を眺めながら北海道最後のサッポロクラシックを楽しむ。もうこの旅が終わることに少し寂しい気持ちはあるけどそれ以上に楽しい旅の想い出がたくさんある。

いよいよ船が出港して北海道を離れていく。最後の最後まで綺麗な夕焼けで見送ってくれた北海道にもう一度感謝の気持ちを送る。ありがとう!また来るからね!

船での晩ごはんは刺身定食と

八海山大吟醸。行く時も飲んだけど美味しかったのでついついリピート。やっぱり刺身と日本酒はよく合う。

一杯飲んだからか結構早い時間に寝てしまって起きたのは5時前。ぐっすり寢れたので体はすっきり。

予定時刻通りに船は新潟港に着いた。バイクの下船は最後だったのでみんなが降りるのを待ってやっとバイクの元へ。

これで2021年の北海道旅が幕を下ろした。本当に幸せな時間だったのでその余韻は長くて、まるで魂は北海道に残って体だけが戻ったような感覚が続いた。知れば知るほどますます北海道のことが好きになる。

来年も北海道に行けますように。

2021北海道ツーリング8日目:ニセコパノラマライン

昨夜はベッドに入ったら秒で意識がなくなって目が覚めたらもう朝6時だった。温泉のおかげなのか起きるとスッキリして体が軽い。いい宿に泊まった甲斐がある。

朝ごはんは7時半からなので散歩がてらに支笏湖を見に行く。

残念ながらまだ濃い雲がかかっている。少し明るいところもあるので晴れてくるとは思うが、多分すぐには厳しそう。それでも早朝の支笏湖は美しい。

支笏湖湖畔園地をぐるっと回って支笏湖展望台まで行ってみたかったが、山線鉄橋が再塗装作業で通行止めになっていたので諦めて支笏湖神社で参拝してきた。また支笏湖に来られますように。

宿に戻ると我がスラクストンが出迎えてくれる。もうすっかり馴染んでいていつもの正位置に停められてるように見える。やっぱり昨夜も雨が降ったらしいが、下屋のおかげで全く濡れてなかった。ありがたい。

いよいよ朝ごはんの時間。昨夜は暗くてあまり見えなかったが、レストランからの湖の眺めも素敵だった。ディナーも夏だったら支笏湖の夕暮れの絶景を堪能しながら食事ができるかもしれない。

ご飯は炊きたてで湯気だけでもう美味しい。実際食べてみると美味しすぎてびっくりした。ちょうどいい粘りと硬さ、甘くて美味しかった。初めて食べる感じだったのでスタッフさんに聞いたら「ほしのゆめ」という米だと教えてくれた。気に入った。

おかずも美味しくて気づいたらご飯もおかずも全部食べてしまった。いつもなら朝ごはんはそれほど食べないのに、美味しすぎた。

朝ごはんの後にもう一回温泉に入ってから支度をしてチェックアウト。本当にいい宿だった。また機会があったらぜひ泊まりたい。冬もいいかもしれない。

このまま支笏湖を離れるのは勿体ないのでとりあえずポロピナイへ。まだ朝早い時間だったのに人がいた。仲良し家族が微笑ましい。

支笏湖の水は本当にキレイ。晴れるともっと透明に近い青に輝く(なんだか村上龍っぽい…)。水質は2018年まで11年連続日本一だったらしい。

名残惜しくて国道453号を行ったり来たりとしながら2021年の最後の支笏湖を楽しむ。

支笏湖には癒しで溢れている。この道を走るだけでも色んなものが浄化されていく。行きたくないが、もう行かないと。

支笏湖から国道453号で洞爺湖を目指す。国道453号は美笛川に沿った形で作られてるので適度にワインディングがあって鬱蒼としてた森があって走ってると楽しい。美笛峠を超えながら支笏湖に最後の挨拶をした。また来年も来られますように。

洞爺湖に着いたのが10時半。洞爺湖に寄ったのはスープカリーが食べたかったから。ネットで調べると千歳空港内以外は洞爺湖の「soup curry mog mog」さんの評価が高かったので洞爺湖に決めた。

11時の営業開始時間に合わせてお店に入ると強面のサンドイッチマンのようなお兄さん二人が優しく迎えてくれた。この二人が切り盛りしているらしい。話してみるとすごく優しくてやっぱり人は見た目で判断してはいけない。店内も個性的で、綺麗に整理されていて、丁寧だった。

頼んだのは季節限定メニューのベーコンとキノコのスープカリーとラッシー。辛さを0から20まで選べられる。聞いてみると結構辛いらしいので2(ピリ辛)を選んだが、それでも辛かった。2でこんなに辛かったら20はどんな味だろう?少し辛いけどスパイスが絶妙なバランスで具材ともよく合って美味しかった。ボリュームもたっぷり。甘いラッシーがよく合う。ごちそうさまでした。

スープカリーの後は今日のハイライト、ニセコパノラマラインへ。

昨日と一昨日の天気の悪さを補うためなのか最高の空をプレゼントしてくれた。これだけ晴れたらどの道を走っても楽しそうなのに今走っているのは北海道一のワインディング・ロードのニセコパノラマライン!

もう最高すぎて言葉が出ない。思わず鼻歌が出てしまうほど。ニセコパノラマラインはこれが3回目で、1回目は記録的な強雨で死ぬかと思ったし、2回目は雨こそは降らなかったけど曇りだったが、3回目にやっとニセコパノラマラインの真骨頂を見たような気がする。

この道、楽しすぎる。

ニセコパノラマラインに来たら必ず寄るのがこの「神仙沼レストハウス」。3年前に土砂降りから助けていただいた御恩を忘れられない。建物も外観工事が綺麗に終わってより格好よくなっている。店長さんも元気そうで何より!

まだスープカリーでお腹がいっぱいだったのでデザートとして神仙ソフトクリームメロンを頼んだ。店長さんがメロンがまだ熟成してないと心配してたが、普通に全然美味しかった。

休憩の後は神威岬へ。これほど天気が良ければ念願の積丹ブルーも拝見できるかも。

ニセコパノラマラインを降りて共和町に入ったら遠くに海が見えてきたが、それがビックリするほど青くて綺麗だった。これが積丹ブルーなのか!期待に胸が高鳴る。

神威岬に向かって国道229号を走っていると左側に広がっている海が綺麗すぎて前に進めるのが難しいくらいだった。この二日間悪天候の中で頑張ったのをこの海が全て償ってくれているかのように感じた。

いよいよ神威岬!坂を登って行くとススキが広がっていた。しかし、雲が多くなって風も結構強い。これはもしかすると…

秋の神威岬は息を呑むほど美しくて素敵だったが、雲と風のせいなのか完璧な積丹ブルーは体験できず。でもこれでまた神威岬へ行く理由ができた。

神威岬の後は国道229号で小樽に向かったが、余市辺りから交通量が増えて道路工事もたくさんやっていたので小樽まで思ったより時間がかかってしまった。

やっとの思いで今日の宿「アンワインドホテル&バー小樽」に到着。このホテルは、歴史と伝統があるホテルが現代の感覚とデザインで洗練されたブティックホテルとして蘇ったのが小樽らしくて素敵だったので予約した。

北海道で初の外国人専用ホテルとして昭和6年(1931年)に建築された「旧越中屋ホテル」。戦時中は将校クラブとして陸軍に、戦後は米軍により接収された歴史を歩み、小樽市指定歴史的建造物、経産省「近代化産業遺産群33」にも指定された歴史的建造物が、数年の月日を経て再生。

このホテルのブランディングとデザインが思ったよりも素晴らしいものでファサードから心に訴えるものがあった。チェックインは必要な手続きのほとんどをウェブで済ませて対面接触は鍵の受け渡しくらいに最小限に減らしているのもよかった。

部屋もこのホテル全体のデザイン規則の中で綺麗にまとめられている。決して広くはないが、必要なものは全て揃えていて快適。

渋滞の中でかなり汗をかいたので先ずシャワーを浴びて着替えたら結構リフレッシュできた。元気が出たので小樽散歩へ出かける。

小樽はこれが3回目だが、ちゃんと見て回るのはこれが初めて。人が少なかったので小樽運河の魅力もゆっくり歩きながら満喫できた。こんなに贅沢(?)な小樽散歩ができるのも今年が最後なのかもしれない。

ホテルに戻るとエントランスホールにある素敵なバーが出迎えてくれる。バーカウンターで一杯飲みたいところだが、バーの営業やレストランでのアルコール類は提供してなかった。残念。

晩ごはんはどうしようか迷ったが、正直にまだ疲れも残ってたので外出せずホテルのレストランで済ませた。カジュアルなイタリアン・レストランでアペタイザー、メイン、デザートをそれぞれ頼んだ。料理は美味しかったが、ここにワインが一杯あったらより美味しかったかもしれない。

食事の後は部屋に戻ってサッポロクラシックと2021年北海道での最後の夜を楽しんだ。

2021北海道ツーリング7日目:支笏湖

旅に出ると思ったよりも自分がコントロールできるものがないことに気付く。特に北海道ではそれをより強く実感する。

朝起きてみると雨は止んでいたが、昨夜はかなり雨が降ったらしい。天気予報を見ると北海道では広範囲に雨が降ったり止んだりするらしい。悩んでも仕方ないので雨が降る前に支度してホテルを出る。

せっかく富良野に泊まったので少しだけでもいいので富良野と美瑛の美しい風景を楽しみたい。そう思いながら美瑛に向かった。富良野川を渡ると向かう先は白い霧に包まれている。まだ「白い」のが救いかな。

実は富良野の農道を走るのも結構好きだ。美瑛のような派手さはないが、長閑な畑の中のまっすぐな道をゆっくりのんびり走るのはなかなか気持ちがいい。しかし、それも天気がいいときの話で今日みたいな天気だと素直に楽しめない。雲の中から太陽が見えるのはまだ雲が薄いということなので少し希望を持ってみるが、

世の中はそんなに甘くない。

あゝ、降ってきた!それも当たると痛いくらい雨粒が大きい。バイクで走ってるとまた激しくぶつかってくる。

今回霧と強雨は共存できないことを初めて知った。霧が雨に一瞬で流されてしまうのだ。なるほど。

富良野から美瑛までは約30分。土砂降りの中を走りながら何度も南の方に引き返すか悩んだが、ここまできて諦めることはできない。美瑛は北海道の大好きな場所の一つだし、観光客がいない美瑛はこれが最後のチャンスなのかもしれない。

お!願いが通じたのか晴れてきた!雨が止むだけでもよかったのに青い空まで見れるとは!嬉しすぎる。同じ青空でもその感動のレベルが全く違う。

マイルドセブンの丘。朝早いのもあって、誰もいない絶景を独り占めした。あの坂の上の木は5本まで減ってしまったが、それはそれでいいのかもしれない。

光によって畑の緑色が変わっていくのが面白い。しかし、また雲が増えてきた。今年の美瑛はこのくらいで満足したほうがよさそう。

美しい景色をありがとう!

マイルドセブンの丘を満喫した後は札幌2りんかんに向かった。やっぱり雨の中を走るには今のタイヤのコンディションでは不安を感じる。朝の土砂降りでタイヤ交換を決めたが、まだ営業開始前なので在庫確認などできずとりあえず行ってみるしかない。昨日電話して予約しとけばよかった。

美瑛から北広島市に近い札幌青田区の2りんかんまでをナビに入れたらグーグル先生が道道70号線を教えてくれた。

最初は自然が豊かでいい道だと思ったのに急にアスファルトがなくなる!フラットではあるけど未舗装区間が11kmもあってその上ヘアピンに違いカーブが多い。極端にRが小さいカーブはその部分だけ舗装されているが、それ以外部分は言葉通りの未舗装道路。未舗装区間のカーブで滑ってヒヤッとした瞬間もあったが、昨日荷物を減らして軽量化したおかげでなんとか耐えることができた。

早くタイヤ変えないと。

昨日と今日、土砂降りの中を走って、ほぼ林道な道道まで走り抜いたらバイクが最高にアドベンチャーな感じに仕上がった。痺れる。他のスラクストンは都会の洗練された道が似合うのになぜか私のスラクストンはエクストリームな道がよく似合う。

9時30分くらいに札幌2りんかんに着いた。10時に営業開始だが、予約もしてなくて在庫やピットの混み合いも知らないのでできるだけ早く着きたかった。そのおかげで一着!営業開始を待っていたらバイクが駐車場に続々と入ってきた。そうか、今日は休日なのか!

ドアが開いたらまっすぐ2りんかんの受付カウンターへ行ってスタッフさんにタイヤ交換したい趣旨を伝えると、手際よくタイヤの在庫とピットの予約状況を確認してくれた。運よくサイズのタイヤもあるし、作業にもすぐかかれるとのことだったので会計を済ませて交換作業をお願いした。

タイヤを持ってピットに持っていくとピットのスタッフさんがすぐ対応してくれた。交換作業には約2時間かかるとのことだったので店内で時間をつぶす。ここの2りんかんはYellowHatやSOXが一つになっていて店内が広い。なんとなく馴染みのあるYellowHatの待合室のソファでランチのお店を物色する。そういえば北海道来てスープカリーをまだ食べてない。

ちょうど2時間でタイヤ交換作業が完了した。ブリヂストンのS22、スポーツ志向のタイヤはかなり久しぶりだが、パターンが格好よくて好き。とりあえずこれで一安心。

札幌2りんかんさん、丁寧なご対応ありがとうございました。

お昼は先ほど見つけた「キッチンファームヤード」さん。農場以外になにもなさそうな畑の真ん中にぽつんとお店があった。厳密には農場に併設されたレストランで基本この農場で収穫されたものを使用して料理を作ってるらしい。飾りすぎない自然な感じが印象的なお店だった。

ちょうど昼時だったのもあってお店の入り口近くに4〜5組待ってらっしゃる方たちがいた。思わず人気店に行ってしまってど惑いもあったが、4〜5組であれば待ってられる。20分くらい待ってたら名前を呼ばれて中へ案内された。いよいよスープカリーが食べられると思ったら、店の中に中二階的なスペースがあってさらに4〜5組の先客がいて合わせると約10組の人たちが待っていた。

タイヤ交換に2時間使ってしまったのでランチの待機にまた時間を潰すのは難しい。スープカリーを諦めて、待たずにすぐ食べられるブラックベリータルトとマフィン、コーヒーをお願いした。ブラックベリータルトはその酸味と甘味のバランスが絶妙で今まで食べたタルトの中で一番美味しかったと思う。マフィンも思ったよりボリュームがあってよかった。

今度またスープカリーに再チャレンジしたい!

次の目的地は今日のハイライト「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」。

実は映画「幸福の黄色いハンカチ」を見たのは最近のことで、北海道に行けないから北海道関連の映画でも見ようかとネットフリックスで検索したらヒットしたのがこの映画だった。

山田洋次監督の演出は素晴らしくて武田鉄矢の若々しい青年の演技や桃井かおりの初々しさは衝撃的だったが、高倉健の渋い格好良さには痺れる魅力があった。しかし、約50年前の北海道の絶景を舞台に広げられる「ザ・ロード・ムービー」なのが何より素晴らしかった。

入り口で500円を支払って中へ入ると勇作(高倉健)さんが住んでいた炭鉱住宅がずらりと並んでいてテンションが上がる。

中へ入ると壁と天井が黄色布とポストイットに埋もれていた。これがビジュアル的にかなりインパクトがあって少し引いてしまう。

隣の部屋に映画のスチル写真とともに哲也(武田鉄矢)のマツダファミリアが展示されていた。映画に使われた2台の中の1台らしい。やっぱりこの時代の直線を大事にしたデザインには独特な格好良さがある。車体にある傷は撮影中に付けられたものなのか?よりリアリティを感じる。

釧路→網走→美幌峠→阿寒湖温泉→陸別駅→帯広→富良野→新得→歌志内→夕張、いつかはこの幸福の黄色いハンカチルートで走ってみたい。哲也はなぜ釧路ではなくて網走駅前でナンパしてたかは未だに疑問だが、そうしないとそもそも話が始まらないので良しとする。

撮影に使われた衣装と劇中の勇作のセリフが書かれた幕がぶら下がっている。

いいか。朱美ちゃんはおなごじゃ。いいか、おなごちゅうもんはな。弱いもんなんじゃ。咲いた花のごと脆い毀れやすいもんじゃ。男は守ってやらないけん。大事にしてやらないけん。ーー聞いとつか、こら

今の時代では少し違和感があるかもしれないが、昭和の時代精神と勇作、高倉健という俳優をよく表すセリフだと思う。やっぱり格好いいと思ってしまう自分も古い人間なんだと改めて実感する。

勇作の家はこうなってたのか!画面越しでは分からなかったが、なかなか興味深い形をしている。この間取りは炭鉱住宅の特徴なのか?貴重なものを見せていただいた。

外に出てもう一度黄色いハンカチを眺めていると映画のエンディングの感動が蘇ってくる。

幸福の黄色いハンカチの想い出ひろばを満喫した後、支笏湖に向かった。千歳市を過ぎて道道16号線に入ると心が落ち着いてくる。ずっと雨が降っていたが、それはもはやあまり関係がなくてもうすぐ支笏湖に会えると高揚感が高まる。それには多分木々に囲まれた道道16号線の影響もあると思う。この道を走るのはいつも気持ちいい。

おお!やっと支笏湖に戻ってこられた。なぜ自分はこれほど支笏湖に惹かれるのか言葉では説明が難しい。いや、言ってしまうと陳腐な感じになってしまうのでそれは敢えて言わず心の中に溜めておきたい。

まだ雲が多いが、明日は晴れるはず。支笏湖を離れる前に晴れてほしい。

今日の宿は「レイクサイドヴィラ翠明閣」。

2年前に泊まった休暇村支笏湖もよかったが、やっぱり湖から少し距離があってあまり支笏湖の隣で泊まってる感じがしなかったので今回は支笏湖温泉の中で一番湖に近い宿に決めた。

一番泊まりたかったのは美笛キャンプ場だが。

駐車場のほうにバイクを停めているとスタッフさんが中から出てきて夜また雨が降るかもしれないと言って玄関横の下屋に停められるように案内してくれた。なんと親切。

部屋は101号室でなんと部屋の窓から支笏湖が見える!左のレストランの建物が少し邪魔だが、102号室からは木以外の障害物なくキレイに湖を楽しめそう。

部屋にマッサージチェアがあってそこに座ると眼の前にこのビューが広がる。疲れた体でマッサージを受けながらこのキレイなレークビューを眺めていると一瞬で落ちてしまう。あぶないあぶない。

部屋の中にも源泉掛け流しの内風呂があっていつでも入れるが、やっぱり温泉といえば露天風呂!貸切なので贅沢に一人でゆっくり温泉を楽しめる。水温は40℃くらいの温めなので長時間入れる。泉質はナトリウム―炭酸水素塩泉・塩化物温泉で神経痛・筋肉痛・疲労回復・慢性消化器病に効能があるらしい。浸かってると肌がスベスベになる美人の湯なのだ。あ、このまま溶けてしまいそう。

後、このレイクサイドヴィラ翠明閣の自慢はイタリアン・レストランの「azzurro」。和食やビュッフェスタイルの夕食の宿が多いが、ちゃんとしたイタリアンコースを出す宿はあまり見たことがない。これはまた楽しみすぎる。

ワインリストが少し弱い以外は麻布や六本木辺りの一流イタリアン・レストランと比べても遜色ない素晴らしい料理だった。量もちょうどよくてお値段もこのクオリティーに比べるとリーズナブル。調べてみると2017年度のミシュランビブグルマンを獲得したらしい。なるほど。

リラックスできる宿に美味しい料理と癒やされる温泉、それに美しい支笏湖。今回の北海道旅で一番の贅沢だった。